全長オス54cm、メス64cmでトビ(Milvus
migrans)とほぼ同じ大きさであるが、尾の形や下面の白さでトビとは容易に区別がつく。オス、メスとも頭部を除き、上面は褐色で、下面は白っぽく、体色に性差はほとんど見られないが、成鳥のメスの胸部には、オスや幼鳥のものよりも太くて目立つ褐色の帯がある。種ミサゴ(Pandion
haliaetus)は中型の猛禽類で、ほぼ全世界的に分布する。本亜種は北海道から九州、およびその周辺の小島などの海岸付近や内陸の水域の近くに生息し、秋には南へ渡る個体もいる。越冬期には営巣していない地域でも見られる。
過去の個体数データがなく変動は不明である。海、河川や湖などで中・小型魚を捕食し、崖や高木で営巣する。水域生態系の頂点に立つため、ダイオキシンなど化学物質や重金属の生物濃縮を起こしやすく、農薬の影響で減少した可能性がある。生息には中・小型魚類が多い開けた水域と、営巣するための崖や高木が必要であるが、人の接近によって攪乱を生じやすい。河川開発、海岸開発による崖面の消失、マツ枯れなどによる営巣木の減少、また、レジャー活動(釣りやマリンスポーツ)による営巣地の攪乱も増加しており、営巣適地は減少していると思われる。個体群の安定のためには、まず現状の調査と、営巣場所の崖や高木と採餌場所の確保、釣りなどのレジャー活動の規制、また汚染物質の管理を含めて、獲物となる中・小型魚類の保全に留意することが不可欠である。日本では、本亜種に対する農薬汚染について詳細は不明だが、水域の汚染物質に対するモニタリングが不可欠である。