小笠原諸島と火山列島に固有な中型のオオコウモリである。母島では、1968年に数百頭が目撃されているが、1970年には50頭以下しか観察されず、1979年にはまれにしか見られないようになった。一方、父島では、1970年代に絶滅したのではないかとの報告が続いたが、1986年に再発見されて以降、徐々に目撃個体数が増加し、現在では100頭余りが生息すると推定されている。しかし、観光利用によるねぐらの攪乱、開発、果樹食害防止ネットへの羅網などが生息を脅かしている。
オオコウモリ属(Pteropus)の中では中型のオオコウモリで、前腕長は130〜150mm、頭胴長は200〜240mm、尾はない。体重は380〜440g。クビワオオコウモリ(P. dasymallus)に比し、耳介が短く、首に輪を欠く(クビワオオコウモリでは首に淡黄色の輪がある)。
小笠原諸島、火山列島に分布する。分布記録があるのは父島(24.0km2)、母島(20.8km2)、北硫黄島(5.5km2)、硫黄島(22.4km2)(戦後の記録がない)、南硫黄島(3.7km2)である。