1976年の記載以来、分布域は広いものの報告例がきわめて少ないヒラマキガイ類である。生息環境が主に湿地や山際の水田など、いずれも湧水が生じている場所であるが、圃場整備や土地改良によって、こういった湧水環境は著しいスピードで消失している上に、生息密度がきわめて低い水生貝類である。
殻径4mm、殻高1.5mm前後の円盤形で、臍孔は緩やかに盛り上がり、殻頂は大きく開口する。殻口は横に長く開口し、底唇は緩やかな弧を描く。外観は和名のごとく、陸生貝類のコハクガイ(Zonitoides
arboreus)に類似する。
関東・北陸地方から四国にかけて報告あるいは未公開情報があるが、山地は飛び地的で、各都道府県での既知産地も1乃至2ヶ所程度でしかない。日本固有種。