大型のワシ類で全長85〜94cm。翼開長220〜250cm。メスはオスよりも大きい。成鳥は体が黒褐色で尾羽と雨覆羽、腿、額が白い。嘴は大きく鮮黄色。足と虹彩も黄色。雌雄同色。若鳥は全身褐色から黒褐色。尾羽はやや白く先端や外縁に褐色斑がある。尾羽の褐色斑は年齢が進むにしたがって減り、やがて白色になる。嘴と脚は淡い黄色。オジロワシ(H.
albicilla
albicilla)とは羽色の違いのほか、嘴がより大きいことや尾羽のくさび形が長いこと、飛翔時に翼の後縁に膨らみがあることから見分けられる。
ロシア極東の繁殖地では4〜5月上旬に産卵、一腹産卵数は普通2卵だが1または3卵のこともある。雛が孵化するのはアムール川下流域では5月末〜6月で、8月には幼鳥が巣立つ。アムール川流域やサハリン北部で夏を過ごし、10月末〜11月初旬に宗谷海峡を経て北海道へ渡る。そしてオホーツク海沿岸のサケの遡上河川流域や南千島の国後島、択捉島で初冬期を過ごす。1〜3月の厳冬期には知床半島沿岸、風蓮湖など北海道東部の海岸や湖沼に集まるほか、北海道南西部の河川や、岩手県や宮城県の海岸部などにも見られる。越冬地では魚類、海鳥類、海棲哺乳類の漂着死体などを食物とするが、羅臼沖のスケトウダラ刺網漁や凍結した湖沼の氷下待網漁から供給される魚にも大きく依存している。越冬地では海岸や湖沼近くの針広混交林をねぐらにしている。3月には繁殖地への渡りを始めるが若鳥は4月下旬まで残るものもあり、知床半島ではまれに夏にも観察される。