日本においては、九州北部の博多湾と有明海湾奥部に注ぐ河川の平野部にのみ生息していた。1980年頃から本種の姿が見えなくなって憂慮されたが、1994年秋に福岡県浮羽郡田主丸町の細流(筑後川水系巨瀬川に流入)で少数が見つかった。現在、ほかに天然の生息例は知られていない。砂泥底あるいは素掘りの細流、クリーク、浅い池などを好む。雑食性で天然の産卵期は初夏から秋。流域の都市化、水田農業の効率化、農地の宅地化は確実に本種の生存を阻害した。農薬や化学肥料などの流入も影響したであろう。
ハヤ型の体型で、雌雄共に最大全長70mm程度。背鰭鰭条数iii+6〜7、臀鰭鰭条数iii+7、縦列鱗数は30〜35。体は少し側扁する。口は小さくて斜めにつき、口髭がない。咽頭歯は2列。側線は不完全かまたはまったくそれを欠く。肛門直前から腹鰭基部後端にかけ腹中線に低い隆起縁がある。体側と背面は淡褐色で腹面にかけて白い。生時には体側がかすかに青紫色を帯びる。
環境省 レッドデータブック”ヒナモロコ” より引用