1 調査と研究から群馬の自然を探る企画展
第32回企画展 「わかった!かわった?群馬の自然」が3月14日から5月6日の期間で開催されている。今回の企画展では1996年から長年に及ぶ群馬県立自然史博物館が行ってきた生物や地形・地質に関する調査と研究の成果を6つのテーマにわけ紹介されている。テーマは「自然史博物館の調査・研究」、「地域の生物調査と地形地質調査」、「群馬の化石からわかること」、「群馬の原風景は今」、「外来生物調査、自然史博物館のこれから」の6つのテーマだ。
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会場入り口 |
2 調査の基本情報
会場に入るとまず、これまで行ってきた博物館の調査に関する基本的な情報として、どのような道具を使い、どのような調査を行っているかを大きく3つの分野に分け紹介している。3つの分野とは、動物・昆虫の調査、植物の調査、そして岩石・鉱物の調査などだ。動物・昆虫の調査では、蝶の翅が壊れないよう移動するための三角形の蝶を入れるケースなどを展示。植物の調査では、根から採り出すための根掘りの道具などが展示されている。また採取した後、押し葉標本を作るための道具なども展示されていた。岩石や鉱物の調査を紹介するコーナーには刃金やハンマーなど実際に調査に使用するための道具が並べてられている。
調査研究体制コーナー |
調査に使用する道具を展示 |
3 「わかった!」ポイントを分野ごとに紹介
次のコーナーでは、今までどのような調査行われていたかを具体的に知ることができる。まず、「群馬の自然を記録する 地域の戸籍作り− 地域の生物調査を地形地質」コーナーでは奥多野(奥多野地域は
群馬県の西南部位置し埼玉県に隣接する県境の地域)調査と下仁田・南牧調査から得られた結果を分野ごとに見ることが出来る。まず両地域にまたがる四ッ又山や鹿岳の山の植物調査の結果から第3期調査(平成14年〜16年度)では蘚苔類(コケ類)27科79種を確認されたこと、また、石灰岩の露出によりチチブハイゴケ、タチヒラゴケ、ホソホウオゴケなど石灰岩特有のコケが見られたことを紹介するパネルが展示されている。また過去五十年間群馬県内の古い標本の記録でしか知られていなかったオオヒキヨモギの自生を確認するなど、その成果の大きさを知ることができる。
それと、標本の産地情報は隠してある点に注目しておこう。これは産地情報が知られると盗掘される恐れがあるために伏せられているとのこと、希少な植物を保存する配慮が随所に見られる。
地域の戸籍作りコーナー |
四ツ又地域のコケ類 |
また、四ッ又山は自然が多く残されている地域で、このことが両生類と爬虫類からの調査からも分る。カジカカエルやナガレタゴガエルなど、きれいな渓流にしかすまないカエルが見られることでその地域の現状を知ることが分ったことが紹介されていた。
調査の内容を解説するパネル |
四ツ又山・鹿岳の両性類と爬虫類 |
この地域の哺乳類では3種のネズミ類と2種のモグラ類の分布が確認されたそうだ。採取にはシャーマントラップ(生け捕り式なわ)が使われ、もっとも多く採られたのはヒメネズミで捕獲全体の約44%を占め、次にアカネズミ。またヒメネズミは春、夏の時期は地上、冬に地下を移動するなどの季節の変動により生息場所が違うことにより捕獲された年と捕獲されなかった年があったそうだ。展示では、これら3種のネズミ標本が並べられていた。
ヒメネズミとアカネズミ標本 |
洞穴調査からえられた標本 |
群馬県では、珍しい鉱物も採取されている。岩石を知るコーナーでは、群馬県で初めて発見された鈴木石、アンモニオ榴石などが拡大鏡を使い見ることができるよう工夫されていた。岩石の調査は引き続きも現在も継続し行っているそうだ。
鉱物・岩石を紹介するコーナー |
鈴木石(左)アンモニオ榴石(左) |
4 群馬の化石からわかること
日本の中でも古くから調査され豊富な化石が産出することで有名な富岡層群の化石調査。貝化石の展示では、この地域から産出した化石から分ったさまざまなことが紹介されている。
群馬の化石から分ることコーナー |
カサガイノ仲間アクマエ・ミトラ(左下) |
その一つとして、かつて群馬周辺に海があり、その海流は、暖流と寒流の影響を受ける環境だったことをパネルで解説。暖流を好むボウシュウボラや寒流を好むウバガイなど多様な生息環境があったことを知ることができる。また、日本周辺から姿を消したカサガイの紹介では、絶滅したカサガイの仲間アクマエ・ミトラの化石を見ることができた。
深海ザメを紹介した展示 |
絶滅属のパラエトモプテルス |
また、サメにかかわる調査研究では、12種類の深海ザメが確認され、世界的にも重要な化石の産地であることを知ることができる。展示では、絶滅属のパラエトモプテルスのほかカラスザメ属、ヘラツノザメ属、ミズワニ属、アイザメ属などの化石の実物が展示され12種類の深海ザメを見ることができる。また、サメは軟体部でできているので小さな歯の化石しか残っていないことも知ることができる。
そのほかクジラの化石では、イルカの祖先に当たる、きれいなケントリオドン類の化石などもあった。
白亜紀前期のサメコーナー |
ケントリオドン類の化石 |
また、会場でもその大きな骨格標本で人目を引いていたのがパレオパラドキシア。富岡層群から発見されたこのパレオパラドキシアは、今から1100万年くらい前に絶滅し、化石は日本と北アメリカの環太平洋地域だけで発見されているもので、展示されている化石は非常に大型で世界最大級のものだそうだ。
大きさが目を引くパレオパラドキシア |
5 白亜紀の群馬・山中地溝帯
化石を産出する群馬県の代表する地層は富岡層群と共に埼玉県小鹿野町から群馬県南西部を経て、長野県佐久穂町に至る山中地溝帯が知られている。この地域では多くの恐竜や新種化石が見つかっているそうだ。群馬県では4種類の恐竜の化石が見つかり、すべてこの地域から見つかっていることを知ることが出来る。最近では、ティタノサウルス形類の歯の化石が発見され今回の展示でも見ることが出来た。これまで、肉食の恐竜しか知られていなかったが、植物食の恐竜化石が初めて見つかったこととのことだ。
甲殻類では、カニの仲間で新発見のハセガワニッポノポン、エビ化石ではカミムラホプロパリアが群馬県で新発見された化石として紹介されている。
甲殻類の化石 |
ハセガワニッポノポン |
6 「かわった?」群馬の自然を知る
ここまでのコーナーは、今までの調査を通し群馬の自然の「わかった」ことを紹介していたコーナーだ。ここからは、群馬の自然がどのように「かわった」かを紹介するコーナーになっている。
群馬の原風景は今コーナーから |
7 人為的な環境変化でかわってきたもの
まずは、特に群馬県内で変化の大きかった地域として、館林や邑楽などの地域を紹介。低湿地帯で沼が多いこの地域は、人為的な環境変化により、低湿地で生息していた植物が少なくなっていることを紹介している。具体的には、ミズニラ、オオアブノメは10年前実際に確認されていたものが現在では見られなくなっている点。そのほか、タチスミレは歩道工事によって過去5年間確認されていないなど植物の生育域の変化を知る解説がされている。
対照的に調査を行う過程で保護されている植物も紹介されていた。その中でも、絶滅の危機にあるコウホネとイヌタヌキモは、コウホネが一部移植を行い、イヌタヌキモは2007年に別地点でもみつかったことの解説と共にイヌタヌキモの標本も並べられている。
館林・邑楽の植物を紹介 |
ミズニラ(右)オオアブノメ(右二番目) |
8 里山の変化
次に変わった地域として里山が紹介されていた。人が山に手をかけなくなると植生が変わってきていることを様々な視点でその変化を見ることがきる展示だ。
昆虫では、アサマシジミが、下草刈りをしなったことで、食草を得られなくなり数を減らしていることだ。また人の影響により数を増やしている昆虫としてツマグロヒョウモンが紹介されていた。ツマグロヒョウモンはもともと暖かいより南の地域に住み群馬県では確認されていたかったものだが、温暖化や、ツマグロヒョウモンの食草としているパンジーなどが多く人によって花壇などに植えられ数を増やしているのではないかと言われていることが紹介されていた。
昆虫の調査から |
アサマシジミの解説 |
9 土壌動物から自然度を知る
土壌生物の調査からは、調査に使用するツルグレン装置と調査から得られた土壌動物の標本とあわせて展示されている。ツルグレン装置だが、光を当てる照射部、その下には採取した土壌を入れ下に穴の開いた容器、下部には光を嫌って下に潜った動物が落ちる容器があり、土壌動物が採取できるよう工夫された装置だ。このツルグレン装置を使って採取した土壌動物のグループから自然環境の度合いが分り、その場所の「自然度」が判定できることが解説されている。会場には微小な土壌動物(カニムシ)を顕微鏡で観察出来る様に工夫されていた。このほか、里山に生息する代表的な両性類の解説と共にトウキョウダルマカエル、ニホンアカガエル、ニホンイモリなどの標本が並べられていた。
ツルグレン装置 |
採集した土壌動物 |
土壌動物調査の解説 |
両生類の標本 |
ニホンイモリをお父さんと探す れい君(3歳) |
10 里山の現状
里山の現状を紹介する展示では、人と動物との軋轢が問題になっているツキノワグマやイノシシ、シカなど、その標本と共にどのような軋轢があるか説明されていた。
ツキノワグマの問題点としては、もともと山に住んでいた動物が森林伐採や住居環境の拡大によって動物に適した多様性にとんだ環境が減ることで食物を求め移動し、本来生息地域ではなかった人里近くにまで生息地域が広がってきていることが生息状況を調べた結果と共に知ることができる。
ツキノワクマノに関する展示 |
イノシシの生息分布の解説 |
ツキノワグマが人に与える影響として、農作物を荒らす、人に危害を加える点。そのほか林業の被害では、クマが樹皮を剥がす被害を紹介。剥がされた樹木は真っすぐにきれいに育つことができず材木としての商品価値が低下すること、またダメージを受けた部分から成長に障害がでて枯れることも問題になっていることを知ることができる。
このはか、繁殖力が強く数がふえてしまうイノシシの生息分布調査を紹介。
またシカは、山に生える自然の植物を食べてしまい、その周辺の植物が育たなくなってしまう採食圧のことを解説。展示では実験によって食べ続けられたササとそうでないササとを比べ成長の違いに大きな差があることを実際の展示から見ることが出来る。
ニホンジカの生息分布と標本 |
菜食圧を解説した展示 |
放置された竹林の自然に与える影響についての展示では、かつては、人が多く利用し伐採することで数の抑制を行うことが出来たが、今日では竹の利用数が低下し、放置され数が増え雑木林を覆い隠す存在になっている点。
また、竹の落ち葉は腐りにくく下を覆い隠しほかの植物が生えにくい環境になっていることなどを解説。詳しい調査研究からは、10m四方の中に50本以上の密度になると50本以下の場合と比較すると四分の一の植物しか生えないことなどが解説されていた。
竹の猛威を解説したパネル
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竹林を模した展示コーナー
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11 外来の動植物の調査
国が指定する特定外来の動物を紹介するコーナーでは、特定外来種の動物が与える自然への影響について解説が行われている。特定外来生物は、その場所から移すことも飼うことも禁止されているが、近年では、ペットとして飼われたアライグマなどが捨てられて、屋外での目撃数が増え、果樹園などを荒らすことで問題になっていることや、ヌートリアの発見例もあることを知ることができる。また鳥の特定外来に指定されている4種類すべてが群馬県内で確認され、カオグロガビチョウは群馬県で初めて確認されたことなどが解説されていた。
外来生物調査コーナー |
アライグマを紹介した展示 |
鳥の多くは中国から来ているものが多くペットとして入ってきたものが野生化している現実があることを知ることが出来る。
ヌートリアの標本 |
調査から分ったことを解説 |
魚のコーナーでは、オオクチバスやブルーギルといった外来生物が標本と共に解説。また、肉食のコクチバスは在来に生息している魚などを食べてしまい自然に与える影響が大きいことを、ため池の調査結果から知ることができた。そのほか要注意外来種としてグッピーやアメリカザリガニ、タイリクバラタナゴなどが水槽に入れられ間近で見られた。
魚の外来生物を知るコーナー |
調査の内容を標本を使い解説 |
ほかに、最近その爆発的な繁殖力と、不気味なピンク色をした卵で話題になることが多いスクミリンゴガイ、また凶暴な性格を持つカミツキガメとワニガメの捕獲時のビデオ映像とカミツキガメ標本が並べられその生態などを知ることが出来た。
カミツキガメの調査結果を展示
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カミツキガメの解説 |
12 外来の植物
まず特定外来植物は群馬県下に8種類が生息することを紹介。また要注意外来植物の紹介も標本と合わせて解説されていた。特定外来種ではオオカワヂシャ、ミズヒマワリ、オオフサモなどの標本ともに展示。その中でもオオフサモの自然に与えた影響として2000年以降急増し水辺の風景を変えてしまったことなどが解説されていた。また、在来の植物の生育を脅かすものとしてオオハンゴンソウも合わせて紹介されている。
特定外来種の植物を紹介するコーナー |
さまざまな外来生物を紹介している |
13 バックヤードツアーに参加
今回の展示会では、多くの博物館の先生方が専門の解説を行う解説リレーがおこなわれていた。又、普段見ることが出来ない博物館のバックヤードを見ることが出来るイベントも催され多くの方が参加していた。
そこで、今回は特別にそのバックヤードツアーの模様を取材する許可が下りたので写真をおって紹介していこう。
また、解説リレーを行っている先生方にもお話を聞くことが出来たので見所を合わせて紹介していこう。
バックヤードツアー
まず参加者全員が実験室に集まり、注意事項を聞いたあと2班に分かれていよいよツアーのスタートだ。ツアーのルートは、実験室(集合場所)→図書室→解剖室→化学分析室→化石・岩石処理室→スタジオ→第3収蔵庫(液侵)→第2収蔵庫(生物)→第1収蔵庫(古生物及び岩石・鉱物)→実験室(集合場所)の順路を約一時間かけ移動。処理室や収蔵庫には専門の先生から研究や収蔵品について詳しい解説を聞くことが出来た。参加されていた子供たちは、興味深く解説を聞き入っていた。
実験室 |
ナビゲーターは大森先生 (図書室) |
解説している田中源吾先生 (化石・岩石処理室) |
スタジオでは杉山先生が解説 |
第3収蔵庫(液侵) |
バックヤードツアーを解説されていた大森先生に目的と参加者の反応を聞きました。
「バッヤードツアーは年度にもよりますが、開館10周年から始まり年に3度ほど行っています。今回の企画展が博物館の役割を知ってもらう展示でもあったので、それにあわせてこのバックヤードツアーを行っています。」
「今回もそうですが大変多くの方が参加してくださり。参加者の反応はおおむね好評で、ツアーに設定した時間でも足りないくらいです。参加していただいた方のご意見を聞くと博物館の意外な一面を知ったとか、バックヤードに収められた標本などをご覧になられて驚かれている方も多かったですね。やはり、こちらとしても博物館の役割を知っていただくというのが意図するところですから行ってよかったと思っています。」とお話いただいた。
大森威宏 先生 |
解説を行う大森先生 |
バックヤードツアー参加者に感想を聞きました。
幼稚園から化石に興味を持ち始めて将来は古生物の研究者になりたいと言うひかる君(9歳)は「博物館の人たちの仕事がよくわかっておもしろかった。特に興味のある古生代の説明を聞くのはとても楽しかった。もっと時間をかけて聞きたかった」と感想を話しくれた。
ご家族で博物館のナイトツアーにも参加されるなど博物館がとても大好きな
ひかる君とご両親。ご協力ありがとうございました。 |
14 各コーナーを担当された先生方にお話をききました。
化石のコーナーを担当された高桑祐司先生に展示のポイントをお聞きました。
展示を担当されたコーナーの前で |
「新種のカニ化石やエビ化石のラベルに正基準標本と赤字で書かれたラベルがあります。これは種の基準となるタイプ標本(正基準標本)を意味しています。」
「博物館の活動としては展示だけをすると捉える方が多いのですが、それと同時に標本を集めることも博物館の重要な活動として知っていただきたいと思っています。その中で種の基準になるタイプ標本(正基準標本)などを見せることでその役割を意識し知ってもらえればと思っています。」
「また、中世代のサメの標本展示ではネズミザメ目の標本を展示しています。ネズミザメの仲間4種類のサメが産出ているところは世界的にも珍しく、ネズミザメの仲間がどのように現れどのように分布・進化してきたかを検討するときには重要な資料になりうるものです。小さな標本ですが、いかに標本が重要なものか知っていただきたいです。」
とお話いただきました。
外来生物のコーナー(スクリミンゴガイ、カワヒバリガイなど)を担当された杉山直人先生に調査と伝えたい事などについお聞きしました。
「博物館の外来種の調査に関しては、博物館だけでは行うことは難しいので、貝を研究している方たちと協力し連絡を取り合って行っています。」
「また、展示している多くの特定外来生物や要注意外来生物を知らない方に知ってもらうことが大きいな目的です。また外来生物が悪いと言うのではなく、その多くが人間の手によって持ち込まれているも物ばかりです。そういった言った意味でも人間の側にも責任があると言うことをメッセージとして伝えたいです。」
とメッセージを頂きました。
スクリミンゴガイ展示の前で |
外来生物の魚コーナーを担当された金井英男先生に展示の目的をお聞きしました。
「まずは特定外来生物。これを紹介していますが、来館されたお客様に群馬県ではどんな特定外来生物が入ってきているのか。あと特定外来と要注意外来をこの展示を通して興味を持っていただく。そして、今回外来生物を知るハンドブックを作りました。これを使い、特定や要注意外来という視点でもう一度身の回りの自然を見ていただくこれが今回の意図と目的です。実際に外来生物が生態系に影響を及ぼしていますが、見ていただいたお客様にそれを駆除してくださいと言うのは求めていません。まずは興味を持っていただき群馬の自然の状況を知っていただく。このことが今回の展示の目的です。」
展示で見ていただきたいポイント
「これまでの調査した結果を紹介するのが今回の展示です。その中から、オオクチバスの胃内容物を調べたものを展示しています。調査ではアカトンボの仲間正式にはアカネ属ですが通称「赤とんぼ」の仲間四個体を確認できました。このことから陸生の昆虫を捕食していることがわかります。」
メダカの写真パネルとカダヤシの写真パネルを手に |
「また富岡市内のため池を調査した結果を今回紹介しています。ブルーギルのいるため池と、いないため池のモツゴの生息状況を比較すると、ブル−ギルのいるため池では大人の個体しか取れなかったんですが。一方、ブルーギルがいないため池では22mmの小さな個体から大きな個体まで確認することが出来ました。これは小さなモツゴがブルーギルなどにより食べられた可能性が高いことを知ることができます。」
モツゴの調査から |
外来生物の紹介 |
「それと、今回展示していますがメダカに間違えられるカダヤシです。現在では、群馬県下ではまだいないことになっていますが、いると心配です。もし発見したら、自然環境課に連絡してください。また、メダカは絶滅危惧種に指定されています。メダカとカダヤシの違いは尾びれで、尾びれが三角になっているのがメダカ丸いのがカダヤシということを紹介しています。このことも是非覚えて帰ってほしいです。」
とお話いただきました。
お忙しいなかご説明いただきましてありがとうございました。
ミシシッピアミミガメの甲羅にハートマークが |
大人気のぬり絵コーナー |
14 展示を通して
今回の企画展では、12年にわたる博物館の調査研究によって「わかった!」ことを紹介するだけではなく。里山や外来生物の変化・侵入によって群馬の自然がどのように変わってきているかを生物の生息域調査や里山の現状などを通し知ることができる。
特に、外来生物については、一部飼い主の無責任な行動で、ペットをむやみに自然に帰し在来生物の生息環境の変化や人に危害を加えてしまうことなど警鐘が鳴らされていた。このような博物館での研究や調査によって自然のことを知り。自然と生き物を大切にしようというメッセージが強く感じられる企画展だった。
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